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巻頭言
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巻頭言 サイエンスソリューション部長 池田基久 |
特集:シミュレーションの大規模化、高速化、効率化
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特集:安心・安全な持続可能社会の実現
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特集:ものづくりを支える
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概要
01. 流体解析システムFrontFlow/Blueによるターボ機械分野の解析事例
流体解析システムFrontFlow/Blue を活用したターボ機械関連の解析事例として、(1)遠心送風機から発生する空力騒音の音源の予測、(2)遠心ポンプの一般性能の予測、および(3)ポンプ吸込水槽に発生する吸込渦の起源の解明について紹介する これらの解析はスーパーコンピュータ「京」を使用して実施したが、これらの大規模解析における課題および今後稼働するスーパーコンピュータ「富岳」への展望を示す。
02. 格子ボルツマン法と有限体積法のマルチグリッド法による非圧縮性流れの定常計算の高速化
格子ボルツマン法はアルゴリズムがシンプルで並列計算に向いていることから流体解析の多くの場面で用いられるようになってきた.定常解を求める場合、有限体積法にマルチグリッド法を適用した例は航空分野を中心に数多くあるが格子ボルツマン法に適用した例は少ない.本稿では非圧縮性流れの定常計算に格子ボルツマン法と有限体積法のマルチグリッド法を適用し両者の計算時間の比較を行った。
03. 時空間データ分析におけるモード分解技術の活用
製品設計や自然現象の評価の際に実験・観測・シミュレーション等を通じて取得される時空間データは大規模化・複雑化を続けているが、その効果的な活用のための分析手法として、モード分解の技術が注目を集めている。本稿では、時空間データ分析の文脈におけるモード分解 の数学的概要と活用方法について概説するとともに、製造および防災分野におけるモード分解に基づく特徴抽出・次元削減・標本生成の具体的事例を通じて、その有用性を示す。
04. 結晶グラフ畳み込みニューラルネットワークによる熱膨張係数予測
近年、材料の物性を高い精度で予測できる機械学習技術としてグラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCNN)が注目を集めている。GCNNは有機・無機を問わず幅広い化合物 に適用可能なことから、数多くの実施例が報告されている。本稿では、燃料電池材料開発への適用を想定したGCNNを用いた無機化合物の体積熱膨張係数の予測と解析事例を報告する。燃料電池は主に電極、電解質材料の積層によって構成されており、これらの材料の熱膨張係数のミスマッチは燃料電池の早期劣化につながることから緻密な制御が必要となる。そこで、オープンソースの材料データベースAFLOWに格納されている5534個の無機化合物の熱膨張係数を取得し、結晶グラフ畳み込みニューラルネットワークを用いた学習を行うことで熱膨張係数の予測モデルの作成を試みた。本稿では計算の概要、予測結果、並びにGCNN等の機械学習技術を用いたマテリアルズインフォマティクスの今後の展望についても概説する。
05. ノイズのある量子コンピュータ上でのAmplitude Estimation
近年、高速計算が可能な次世代のコンピュータの候補として、量子コンピュータに大きな注目が集まっている。本稿では、数値積分(モンテカルロ積分)等に応用可能な、基礎的な量子アルゴリズムである量子振幅推定法のノイズ状況下(Depolarizing noise)における性能について議論する。
06. 都市型水害解析の現状と展望
当社では、これまで「都市型水害 予測解析システム」を用いた受託解析を十数年にわたって行ってきた実績があり、その経験とノウハウを基に、今般、新規に都市型水害ソルバーのプロトタイプを開発した。本稿では、まず国内で広く利用されている代表的な都市型水害解析ソフトウェアの特徴について述べる。つぎに、開発した 都市型水害ソルバーの機能の概要および基礎的な検証事例を紹介する。
07.津波高潮シミュレータQ-Waveを用いた2019年台風19号の高潮解析
高潮計算に用いられるプログラムの多くはGUIが備えられていないものが多く、その使用には高度な技術と多くの作業が必要となる。本報では当社が開発したGUIから簡単に高潮計算が行える津波高潮解析シミュレータ Q-Wave の機能と特徴を紹介し、台風19号による高潮の再現計算の結果を示す。GUIからの操作により高度な技術が必要となる高潮計算を容易に行えることや、Building Cube Methodに基づく格子系を採用することにより複数の港湾を対象とした計算が一度で行えることを示す。
08.SWANによる2019年台風19号の波浪推算
近年、日本近辺を通過する台風が大型化していることで、港湾施設の設計や維持に関しては、このような大型台風が通過した際の風波による影響を想定しておくことの重要性が高まっている。本稿では、波浪推算に関する基礎理論をまとめたうえで、2019年に関東甲信から東北といった広域にわたる被害をもたらした台風19号に関して波浪推算を行った結果を示す。
09. 新しい安全・安心の概念Safety2.0と先進技術を活用した労働安全 衛生 対策 の動向
「第4次産業革命」とそれによる技術の革新を踏まえ提唱された「Connected Industries」の時代を迎える中、企業の労働安全衛生管理においても、先進技術を積極的に活用する取組みが見られる。具体的な動向としては、製造業等において、人と機械が協調する次世代の作業現場の構築と、対応する新しい安全・安心の概念「Safety2.0」の導入が広がりを見せている。本稿では、Safety2.0の解説と関連する動向の紹介並びに先進技術を活用した労働安全衛生対策の例について紹介する。
10. COMSOL Multiphysics 金属プロセスモジュールを用いた高周波焼入れ解析と深層学習適用の事例紹介
2019年にリリースされた COMSOL Multiphysics バージョン 5.5では、新しいモジュールとして 相変態を扱う金属プロセスモジュールが追加された。金属プロセスモジュールを活用することで相変態に関わるマルチフィジックス解析が可能となる。本報では金属プロセスモジュールの機能紹介、金属プロセスモジュールを用いた高周波焼入れの解析事例、最後に、深層学習活用の検討について紹介する。
11. Abaqusによる圧力容器の疲労評価とその自動化
運転中に温度と内圧が変化する圧力容器について疲労評価を行った事例を紹介する。疲労評価の手順はJIS B 8265 附属書 8に基づいており、CAE解析ソフトによる応力解析をポスト処理して実施した。本稿では、疲労評価の概要に加えてポスト処理の効率化及び自動化の工夫についても紹介する。
- *Q-Waveは、みずほリサーチ&テクノロジーズの登録商標です。
- *COMSOL Multiphysicsは、COMSOL AB社の登録商標です。