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社会動向レポート

職場における化学物質管理に関する国内外の動向(2/3)

環境エネルギー第2部 コンサルタント 後藤 嘉孝

2.簡易な化学物質のリスクアセスメントツール「CREATE-SIMPLE」について

ここでは、ECETOC TRA、STOFFENMANAGERと同様の精度かつ簡単に評価が実施できると考えられるCREATE-SIMPLEについて紹介する。

CREATE-SIMPLE(Chemical Risk Easy Assessment Tool, Edited for Service Industry and MultiPLE workplaces;クリエイト・シンプル)は、サービス業など幅広い業種にむけた簡単な化学物質リスクアセスメントツールであり、2017年に厚生労働省より公開され、2018年には経皮及び危険性のリスクを見積もる機能が追加された。

CREATE-SIMPLEは、化学物質の健康影響については、「危険有害性」と「推定ばく露濃度及び推定吸収量」より、危険性については、物質固有の「危険性有害性」及び「取扱状況」よりリスクを判定するものである。

リスク判定の具体的な論理や詳細な操作方法は「設計基準」及び「マニュアル」に掲載されているため割愛するが、「吸入」「経皮」及び「危険性(爆発・火災)」について、16種類の質問に答えていくだけで、リスクを判定することができる。(図表5、図表6)

最初はやや16種類の質問を選択するのに時間を要するかもしれないが、慣れてくれば1物質あたり短時間(数分程度)でリスクの判定を行うことができるという事業者からの声も多い。

さらに、実施したリスクアセスメント結果を見やすく表示できる「実施レポート」では、リスクが高い場合など、リスクを検討したい場合には、「対策後」の欄を用いてQ1~Q16の作業条件を任意に変更し、その場でリスクアセスメントを再実施し、「現状」と比較できる(図表7)。

リスクアセスメント再実施結果を保存してCREATE-SIMPLEによるリスクアセスメントが終了となる。このように、専門的な訓練がなくとも容易に使えるツールとなっている。

CREATE-SIMPLEは、入力する情報量が豊富であり、作業場の条件を適切に反映できること、リスク判定の精度が高いこと、及びツールが非常に使いやすいことが特徴であり、中小企業から大企業まで、様々な企業に用いられている。


図表5 CREATE-SIMPLE の入力画面
図表5

  1. (資料)みずほ情報総研にて作成。リスクレベルはI(小さい)~IV(大きい)の4段階で判定される。

図表6 CREATE-SIMPLE の質問項目一覧
図表6

  1. (資料)みずほ情報総研にて作成

図表7 CREATE-SIMPLE におけるリスク低減対策の検討画面
図表7

  1. (資料)みずほ情報総研にて作成
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