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固体高分子形燃料電池シミュレーター P-Stack® 解析事例(2)

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解析事例(2)実機セルの負荷変動解析

負荷変動時の膜乾湿サイクルの解析

電解質膜の機械劣化の要因となる負荷変動時の乾湿変化の非定常挙動を解析するため、発電面積が260cm2のセルに負荷変動(低負荷t1→高負荷t2~t3→低負荷t4:5秒)を与えた計算を行いました。

図1

解析対象のセル(発電面積260 cm2、1セル1冷却水、上下面に周期境界条件)

図2

解析条件として与えた負荷変動のサイクル

各時刻t1~t4におけるMEAの物理量分布を下図に示します。リブ下と流路下の差異に注目すると、低負荷時(t1、t4)は電流密度差が小さいため含水量に違いはみられませんが、高負荷時(t2、t3)では電流密度差が増大するため、含水量に明らかな違いがみられます(図水平方向の縞模様がはっきりと現れます)。また、高負荷時では発熱によって温度が上昇しますが、低負荷に戻した直後(t4)では温度が十分に低下せず、膜内の含水分布も乾く傾向が見られます。このように、実機セルの負荷変動時における含水変化を過渡的な変化まで含めて解析することにより、機械劣化を引き起こしやすい領域を予測することができます。

図3

負荷変動時の各時刻におけるMEAの電流密度、含水、温度分布(各図の左側がカソード入口、右側がカソード出口。電流密度分布の単位は平均電流密度に対するパーセンテージ。含水分布の単位は含水量λ(スルホン酸基一つあたりの水分子数))

また、MEAにおける電流密度の時刻歴を下図に示します。リブ下はチャネル下よりも水が滞留しやすいことから、カソード入口側ではリブ下の方がチャネル下よりも発電性能が良く、カソード出口側ではカソード上流の水が運ばれてくるため含水過剰となり、リブ下の方がチャネル下よりも発電性能が低下することがわかります。

図4

MEAにおける電流密度の時刻歴(左:カソード入口側、右:カソード出口側)

  • *「P-Stack」は、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の登録商標です。

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