専用シミュレーションシステムの構築
専用シミュレーションシステムのメリット
豊富な計算機能を持つ汎用のシミュレーションソフトは様々分野の多様な課題に適用できます。しかし、機能が豊富であるがため、以下のようにユーザーが判断しなければならないことが多くあります。
『必要な計算機能が選択されているか』
『正しい(精度の高い)結果を得るための適切なメッシュが作成できているか』
『正しい(精度の高い)結果を得るための適切な境界条件の設定がされているか』
『計算(数値解法)手法の選択と計算を安定化させるためのパラメータ設定ができているか』
一例としてメッシュ作成の作業について考えて見ましょう。
汎用シミュレーションソフトに付属しているメッシュ生成機能はCADなどの形状データに対して自動でメッシュを作成してくれます。しかし、計算精度と計算時間のバランスがとれた適切なメッシュが作成できているかどうか(一般に、計算精度はメッシュ数が多いほど高くなり、計算時間はメッシュ数が多いほど長くなる、というトレードオフの関係にあります)はユーザーが判断しなければなりません。
上記のようなシミュレーションの、いわば「準備」作業を時間をかけて習熟しなければならないことは製品設計、製造をメインの業務としている、シミュレーションの専門家でない方にとってシミュレーション活用のハードルになります。
ところが、設計や製造の現場で対象としている課題は汎用シミュレーションソフトが持つ機能の一部だけで対応できることが少なくありません。このような場合、汎用のシミュレーションソフトウェアの豊富な機能というメリットは小さく、逆に、ユーザーの判断を必要とするシミュレーションの「準備」を習熟しなければならないというデメリットが大きくなってしまいます。
そこで、みずほリサーチ&テクノロジーズでは、多様な機能を持つ汎用のシミュレーションソフトであるOpenFOAM®の機能を、対象とする課題に必要なもののみに絞ることでミュレーションの「準備」にかかる負担を大幅に減らす『専用シミュレーションシステム』を提案しています。
専用シミュレーションシステムのメリット
- (1)シミュレーションに必要となる作業工程の大部分を自動化して運用の負担を大幅に削減
- (2)ロバストなメッシュ作成、高い計算安定性(収束性)を実現
- (3)ライセンス数による制約を受けずに、並列計算、複数ジョブの同時実行、複数拠点での使用が可能

専用シミュレーションと汎用シミュレーシの比較の概念図
専用シミュレーションでは汎用シミュレーションに必要な習熟、運用コストを大きく削減します。
専用シミュレーションシステム構築の流れ
1.必要な計算機能の選択
OpenFOAMは商用のソフトウェアに比肩する豊富な計算機能を持っています。この中から対象としている課題に必要な機能を抽出します。必要な機能を絞ることで解析条件の設定が単純化できます。
既存の機能だけでは対応できない場合には適切なカスタマイズを行います。

2.適切な計算モデルの構築
メッシュ、境界条件、計算手法の選定、計算の安定化などシミュレーションに必要な一連の設定について検討し、安定してシミュレーションが実行できるプロトタイプとなる計算モデルを構築します。
この段階で実験との比較によるシミュレーションの妥当性を評価し、また、設計や製造プロセスにどのようにシミュレーションを適用していくと効果が最大化されるかを検討します。
3.専用化ツールの構築
2で検討したプロトタイプのモデル及び、そこから派生するモデルの作成プロセスの大部分を自動化する、専用のデータ入力ツールを作成します。
直感的なデータ入力が可能なGUIの作成から、多くの方が使用経験があるであろうMicrosoft® Excel®を利用した入力ツールまで、お客様の使用環境に合わせて構築します。
計算結果において頻繁に使うデータやグラフは計算終了後に自動で表示し、解析結果の後処理の手間を削減します。

複雑な処理も直感的で分かりやすい操作が可能

慣れた環境で操作が可能
4.導入支援
導入時には、専用化シミュレーションシステムのマニュアルを作成し、また、操作方法の説明会の開催などを行い、お客様がスムーズに活用できるようにサポートします。
導入後のサポート、更なる改良も承っています。
- *OpenFOAMはOpenCFD社の登録商標です。
- *Microsoft Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- 適用事例(1):閉空間内の水素拡散挙動のシミュレーション
- 適用事例(2):塗布シミュレーション
- 適用事例(3):カスタマイズ例の紹介
- 適用事例(4):専用シミュレーションシステムの構築