非平滑化手法とその実務的意義 大学資産運用におけるオルタナティブ資産のリスク評価

2025年9月3日

年金コンサルティング部

鈴木 麻悌
立石 奈津美
吉村 礼

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ナレッジ・オピニオン

要約

近年、大学の資産運用でオルタナティブ資産の重要性が増している。しかし、評価遅延などによる「リターン平滑化」はリスクの過小評価を招き、資産配分やリスク管理に歪みを生じさせる懸念がある。
本稿は、この課題に対応するため、平滑化されたリターンから本来のリスクを復元する「非平滑化」という統計的手法を、理論から実践まで概説する。時系列モデルやカルマンフィルタといった手法を紹介し、実証分析を通じてリスク評価への影響を検証した。その結果、非平滑化によりオルタナティブ資産のリスクは実態に近い水準まで上昇し、ポートフォリオ全体のリスク寄与も大幅に増加することが確認された。
この分析は、資産配分戦略やペイアウト計画策定などに重要な示唆を与える。オルタナティブ資産の「見えにくいリスク」をいかに捉え、戦略に活かすか。本稿がこの問いへの議論を深め、大学における資産運用高度化の礎となることを期待する。

(謝辞)

本レポートの作成にあたり、海外エンダウメント調査・意見交換の機会と有益な示唆をご提供いただいた以下の運用機関に深謝する。なお、記載の内容・見解は筆者のものであり、各社の公式見解を示すものではなく、各社による本レポート内容の保証・推奨を意味しない。記載の誤謬等はすべて筆者の責任である。

  • Canyon Partners, LLC
  • Capital Group
  • Allianz Global Investors
  • Neuberger Berman
  • Partners Group
  • Mondrian Investment Partners
  • りそな銀行
  • みずほ信託銀行

また、本調査の実施に際しご支援・ご調整を賜った関係者各位にも記して御礼申し上げる。

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