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特定の商品・サービスに対するLCA・CO2排出量「見える化」の実施サービス 実施手順 ライフサイクル影響評価

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ライフサイクル影響評価とは、ライフサイクルインベントリ分析で得られた結果が、環境にどのような影響を及ぼすかを評価する段階である。これまでにいつくかの影響評価手法が提案されており、そのいずれを利用するかは実施者の考え方次第である。
ライフサイクル影響評価を実際に行う手順は4段階に整理することができる(図9参照)。

図9:ライフサイクルインベントリの作業フロー

図9:ライフサイクルインベントリの作業フロー

1.影響領域を選択する

実施者は実施目的に従って、影響評価をおこなうための影響領域を選択する。選択する領域は影響評価の手法によって異なる。中にはほぼどの手法でも与えられる領域もあるが、すべてが同一なわけではない。代表的な影響領域としては「地球温暖化」や「オゾン層破壊」、「有毒物質」等が挙げられるだろう。それらの中から実施者は「地球温暖化」と「オゾン層破壊」というように、LCA実施の目的に沿って影響領域を選択していく。

2.ライフサイクルインベントリ分析で得られたデータを関連する影響領域に割り振る

ライフサイクルインベントリ分析で得られたデータを、「地球温暖化」「オゾン層破壊」といった各影響領域へと割り振っていく。例えば、インベントリデータとしてCO2とCFCの排出量を作成し、(1)で「地球温暖化」と「オゾン層破壊」を影響領域として選択した場合は、CO2は「地球温暖化」に寄与し、CFCは「地球温暖化」と「オゾン層破壊」のいずれにも寄与するため、以降の各影響領域ごとの作業においては、「地球温暖化」ではCO2とCFCの排出量、「オゾン層破壊」ではCFCの排出量について影響を評価していくことになる。

3.割り振られたデータが各影響領域に与える影響を評価する

データを割り振った後、各影響領域ごとに評価を行う。評価の方法は手法ごとに異なるが、多く利用されるのは、各物質の排出量に特性化係数を乗ずる方法である。その手順は、以下の通りである。

  1. (1)ある影響領域に割り振られた各物質の排出量に対して、その影響領域における特性化係数を乗ずる
  2. (2)1.の各物質に対する積算結果を全物質について加算する

例えば、「地球温暖化」を選択したときには、特性化係数として地球温暖化ポテンシャル(GWP)と呼ばれる数値を使用するのが一般的である。これは、様々な温室効果ガスの地球温暖化に対する寄与(放射強制力)を、CO2との比で表したものである。例えばCH4であれば、100年間の地球温暖化に対する寄与はCO2の21倍(GWPが21*)であるので、CH4 1kgの排出はCO2 21kgの排出に相当する。

  • *「気候変動に関する政府間パネル」(The International Panel on Climate Change : IPCC)(1996年)

4.各影響領域ごとに算定された結果に重み付けして、統合的な指標を算定する

価値評価とも呼ばれるこの作業の実施は任意である。すなわち、影響領域別の環境負荷の算出のみを目的とするLCAにおいては、(3)で手順を止めてしまっても目的と整合した評価となる。価値評価の作業は、影響領域ごとの評価の統合を行うことを目的とした場合に限り必要となる。
作業の内容は、各影響領域ごとに算定した数値(指標)にそれぞれ重み付け係数を乗じ、各影響領域ごとに評価した影響を比較可能な同じ評価単位として加算する作業であり、その手順は以下の通りである。

  1. (1)各影響領域ごとの指標の算定結果に対し、その物質の重み付け係数を積算する
  2. (2)すべての「影響領域」の重み付けされた影響を加算する

影響領域ごとの影響を加算するために必要な重み付け係数は、各手法によって異なっている。これは、各手法が重み付けを行う際の視点・価値観が異なるからである。したがって、ライフサイクル影響評価実施者が独自の重み付け係数を作成して、影響評価を行うことは可能である。しかし、重み付け係数の作成には多大な基礎的研究が必要である。いずれにせよ、使用した係数の根拠は明確にしておかなければならない。

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