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COMSOL Multiphysics® マルチフィジックスシミュレーションソフトウェア 適用事例(3)

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電気めっき解析によるめっき膜厚分布予測

1フロントグリルのめっき膜厚分布予測

めっき槽内に複数のアノード板、フロントグリルを配置したモデルに対して、電極反応を考慮した2次電流密度分布解析を実施し、フロントグリル表面のめっき膜厚分布を予測しました。下図にめっき槽内の断面電位分布およびフロントグリル表面のめっき膜厚分布の結果を示します。フロントグリルの薄い間隙に電場が届かず膜厚が薄くなる一方で、フロントグリル先端近傍に膜厚が集中していることが確認できます。遮蔽版や補助電極を考慮しためっき槽の最適設計に加え、抵抗体電極やシード膜抵抗を考慮した解析を実施することも可能です。また、本例題ではフロントグリルの薄い間隙に対して細かいメッシュを生成するため全メッシュ数が1500万規模になりますが、このような大規模な計算に対しても現実的な時間で実施することができます(計算時間はおよそ1時間)。

図1
めっき液における断面電位分布
図2
フロントグリル表面のめっき膜厚分布

2パターン率を適用した基板上のめっき膜厚分布解析

パターン率の考えを適用することによって、複雑な配線パターンを持つ基板に対するめっき膜厚分布解析を効率的に実施することが可能です。パターン率自動算出ソフトウェア(ダイナトロン株式会社製)では、ユーザが指定した領域をめっき部と非めっき部の割合に応じたパターン率で近似、平均化することによってメッシュ数を大幅に削減し、パターンめっきを現実的な時間で実施することが可能となります。また、GerberフォーマットやGDSIIフォーマットで作成した配線パターンを読み込み、この配線パターンからパターン率を「自動」で算出することができるため、実形状に基づいたパターンめっきを容易に解析できます。

図3

パターン率自動算出ソフトウェアにおけるパターン率の計算

COMSOL Multiphysicsではパターン率分布のデータを読み込むことができ、このデータを基板上の被めっき面に適用することによってめっき膜厚分布の解析が可能です。

図4
パターン率の分布
図5
パターン率適用時のめっき膜厚分布

3変形メッシュを用いた非定常めっき膜成長シミュレーション

バンプめっきを想定した3次元形状モデルに対して、2次電流密度分布の非定常錫めっき膜成長シミュレーションの結果を以下に示します。時間経過とともにバンプ領域の埋め込みが進んでいることが確認できます。本例題では、変形メッシュ機能を用いた形状変化によって膜の成長をシミュレートしていますが、COMSOL Multiphysicsは膜の成長が進むにつれて歪むメッシュに対する自動リメッシング機能を実装しており、このような解析も安定に実施することが可能です。

図6

1分、30分、60分後の電流密度分布(上図)と電位分布(下図)