
循環阻害物質が自動車業界に与える影響 欧州サーキュラーエコノミーが変える化学物質管理の境界線
2025年9月4日
サステナビリティコンサルティング第2部
庭野 諒
本記事のPDFデータはこちら(PDF/1,531KB)ナレッジ・オピニオン
要約
欧州委員会が2023年7月に公表した廃自動車(ELV)規則案は、車両に使用されるプラスチックに再生材の使用を義務付け、その一部を廃車由来とすることを求めている。
これにより、廃車由来プラスチックを新車設計に再投入する際、当時は許容されたが現在は制限・禁止されたレガシー物質が残存し得るという化学物質管理上の新たな論点が生じる。
さらに欧州ではサーキュラーエコノミーの文脈から、有害性に加えリユース・リサイクルを妨げる循環阻害物質を管理対象に広げつつある。2024年7月に採択されたエコデザイン規則では、懸念物質(substance of concern:SoC)の定義に循環阻害物質を含んでおり、この定義はELV規則案においても踏まえられている。このように、化学物質管理は大きな転換点を迎えている。
そこで本稿では、どのような物質が循環阻害物質とみなされ得るか、現在の動向を紐解くと共に、今後の自動車業界への影響ととるべき対策について考察する。
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