最新動向レポート「ES(Executive Summary)」
経営層の方向けに作成しているレポートです。氾濫する温暖化関連情報からポイントを抽出した、短時間で通読できるレポートです。
国内外の政策動向等、時節に応じたトピックを取り上げています。
2021年 3月号(2021.2.1〜2021.2.28)
- 国内
- 経済産業省、環境省:カーボンプライシングの検討、両省並行して議論開始
- 国際
- UNFCCC:NDC現状分析。各国2030年目標の合計は1.5℃目標に程遠い
目次
国内動向
- 環境省:約1年半振りにカーボンプライシングの議論を再開
- 経済産業省:成長に資するカーボンプライシングの検討に着手
- 経済産業省:2050年CNに向けた研究開発支援基金事業の方向性を検討
- 経済産業省:燃料アンモニアの導入・拡大に向けたロードマップを策定
- 【速報】経済産業省・環境省・農林水産省:第10回J-クレジット入札販売
環境経営編
- 金融庁:有価証券報告書等における気候関連情報開示のあり方を議論
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:適応促進に向け、気候リスクや損害データ共通化等を実施へ
- UNFCCC:NDC現状分析。各国2030年目標の合計は1.5℃目標に程遠い
環境経営編
- UNEP:ポストSAICMを先行? 新中期戦略で汚染を地球的危機とし対策推進
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 経済産業省と環境省は菅総理の指示もあり、両省並行してカーボンプライシングについて議論。
- 環境省は1年半ぶりに、カーボンプライシングの活用に関する小委員会を開催。前回の「中間的な整理」以降の国内外の動向を踏まえ、当面の検討事項案を提示。
- 経済産業省は世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会を設立。脱炭素技術の確立状況と導入の時間軸を踏まえたあるべきポリシーミックスの姿を例示。短期的な導入促進や、未確立の技術の開発に対しての補助金、税制優遇等のポジティブインセンティブが有効との立場。
- 経済産業省は、グリーンイノベーションプロジェクト部会を設立。2兆円の「グリーンイノベーション基金」の管理・運営方針の議論、支援対象プロジェクトの進捗確認を目的とする部会。第1回では、基金事業の目的、支援対象といった基本方針の骨子案を提示。
- 経済産業省は燃料アンモニア導入官民協議会の「中間とりまとめ」を公表。中間とりまとめの中で、2030年300万トン/年、2050年3,000万トン/年の燃料アンモニア導入量目標を明記したロードマップを提示。目標実現に向けて、新たな燃料アンモニアとしての市場の急激な拡大が期待される 。
- 第10回J-クレジット入札販売結果が公表。再エネ発電J-クレの平均販売価格は2,191円/t-CO2に大きく上昇。これは約1.1円/kWhに相当し、非化石証書の最低落札価格にかなり接近した格好。
- 金融庁は、サスティナブルファイナンス有識者会議の第2回、第3回を開催。第2回では企業の有価証券報告書等における気候関連情報開示のあり方を議論。気候関連情報が法定開示となるか、TCFDなどの枠組を利用した開示となるかなど、今後の議論が注目される。
国際動向サマリー
- 2月は欧州委員会が適応戦略改定案を公表。気候影響に関する堅固なデータやリスク評価ツールの開発と活用を重視し、「気候関連リスクや損害に関する、データ共通化とアクセス性向上」、「保険加入率の向上」、「EU内外における適応向け資金の拡大」等の対策を強化。また、生態系の保全・保護や、都市の緑地スペース導入、森林や農地の持続可能な管理等の「自然ベースの適応解決策」も推進。
- UNFCCCは、各国が提出した2030年目標による削減効果をまとめた報告書を公表。各国の取組を合計しても、IPCC1.5℃特別報告書が示した「2010年比▲45%程度」には程遠いと分析。なおEUやUK等は強化版目標を提出したが、米中を含むその他主要国は新目標未提出であり、追って、それらの新目標を踏まえた更新版報告書が公表される予定。
2021年 2月号(2021.1.1〜2021.1.31)
- 国内
- トランジション等、ESGに係る各種ファイナンスの議論進展
- 国際
- 米国:バイデン大統領就任。4月22日までに削減目標提出。他国にも目標積み増しを求める
目次
国内動向
- 経済産業省:次期エネ基に向け、産業・民生・運輸部門の課題を総覧
- 経済産業省:FIP制度:非化石証書平均入札価格分を控除
- 経済産業省:非化石価値取引市場:需要家が直接購入可能に?
- 経済産業省:再エネ:導入量拡大を促す施策を提示
環境経営編
- 経済産業省・金融庁・環境省:トランジションファイナンスの指針検討に着手
- 環境省:環境面のインパクト評価ガイドの本文案を提示
- 経済産業省・環境省:世界初のCEに特化した開示・対話ガイダンスを公表
- 金融庁:脱炭素化に向け、金融機関の資金提供と企業の開示を促進
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- 米国:4月22日までに削減目標提出。他国にも目標積み増しを求める
- EU:EUタクソノミー:トランジションの基準設定も視野に検討開始
環境経営編
- SBTi:SBTネットゼロ基準(案)公表、SBT基準厳格化の可能性も示唆
- IIRC:公表以来初となる改訂版国際統合報告フレームワークを発表
- 米国:カリフォルニア州 タイヤ摩耗粒子の亜鉛による水生生物への影響懸念
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 経済産業省は総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会を開催。 産業・民生・運輸部門のカーボンニュートラルに向けた課題を整理。脱炭素化燃料や技術のコスト低減、技術開発での課題があり、将来の不確実性を踏まえた方向性検討のためのシナリオ分析のシナリオ案などが提示された。
- 経済産業省はFIP制度の詳細設計について議論。いくつかの論点の中で、FIP電源に由来する非化石証書の収入分を控除する案を提示。非化石証書価格以上のプレミアム価格を乗せて販売しなければ機会損失が発生するため、FIP制度による安価な再エネ電力調達にはつながらない可能性。
- 経済産業省は電力・ガス基本政策小委員会を開催。カーボンニュートラルに向けた電力・ガス産業のあり方についての検討課題を整理。「需要家の視点」という論点において、需要家の声を踏まえた非化石価値取引市場のあり方という項目があり、再エネ電力調達環境の変革が期待される。
- 経済産業省の調達価格等算定委員会では、2021年度以降の入札制度および調達価格について議論。太陽光発電は入札上限価格の事前公表による入札の活性化を目指す案を提示。
- 1月は各種ファイナンスの方針やガイダンスを議論するための会合が各省庁で開催。
- 経産省、金融庁、環境省はトランジション・ファイナンス環境整備検討会を開催。国内のトランジションファイナンス実施に係る基本方針の策定が目的。第1回から基本指針の骨子案を提示し、ICMAハンドブックを踏まえつつ、我が国の実情に即した記載や解説の拡充を行う方向性を示す。
- 環境省はポジティブインパクトファイナンスタスクフォースを開催。インパクトファイナンスにおけるインパクトの特定・評価の具体的手順を解説する、インパクト評価ガイドの本文案を提示。ネガティブインパクトの管理の重要性に言及し、事業ごとのネガティブインパクト例一覧を付属資料で整理。
- 経済産業省・環境省は「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を公表。ガイダンスにおいて、価値創造ストーリーの作り上げ、リスクの機会への転換と、ビジネスモデルや戦略と関連付けた説明が重要なポイント。
- 金融庁はサステナブルファイナンス有識者会議を開催。金融機関が企業の開示から脱炭素化における成長性を見出し、資金提供を強化する動きを加速していくことが会議体の狙い。
国際動向サマリー
- 米国バイデン政権が気候変動政策を表明。前政権が緩和した石炭火力への規制の再強化や、ゼロエミ電力・自動車・洋上風力等を推進する方針。熱帯雨林等の火災防止や、農林水産業における炭素貯留(による雇用創出)等も重視。対外的には、4月に開催する気候サミット、5年ぶりに再開されるMEFやG20等において他国の2030年目標積み増しを求めていく方針。日本に対しても、目標引き上げを求めてくる可能性があるだろう。
- 欧州委員会は、EUタクソノミーに対するパブコメを踏まえ、トランジション活動(工場の省エネ等のように排出ゼロではないが、排出ゼロに向けた移行段階の活動)の扱いの明確化を検討。この基準値は、EUにおける化石燃料関連事業や企業等への支援打ち切りの基準値等としても参照される可能性もある。まずは3月の提言で何が示されるかに注目。
- SBTイニシアティブはネットゼロ目標設定に関する基準(案)を公表。Scope3範囲の1.5℃水準での総量削減、中間目標としてのSBT設定、適格な炭素除去クレジットのみ利用可などの観点からみて、厳しい内容。また、ネットゼロ目標のためのSBT基準の内容は、現行よりも厳格化される案が提示。例年実施している4月のSBT基準改定もネットゼロ基準次第では厳格化される可能性。
2021年 1月号(2020.12.1〜2020.12.31)
- 国内
- 経済産業省:2050年カーボンニュートラルに向けた成長戦略を策定
- 国際
- EU:バッテリーへの数値基準等導入を提案。ライフサイクル全体が対象
- 巻末特集
- 2021年 各分野の注目ポイント
目次
国内動向
- 経済産業省:2050年カーボンニュートラルに向けた成長戦略を策定
- 内閣官房:カーボンニュートラルに向けた制度改革方針提示
- 経済産業省:2050年における各電源の位置づけ案を提示
- 経済産業省:非効率石炭火力フェードアウトへ 容量市場で減額案
- 経済産業省:非効率石炭火力フェードアウト:規制・評価方法の議論で進展
- 経済産業省:カーボンニュートラルに向けた資源・燃料政策の検討開始
- 経済産業省・国土交通省:洋上風力 2040年までに4,500万kWの導入目標を明示
- JH2A:水素社会実現に向け、産業界と金融界の協働の場を設置
環境経営編
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:2030年目標を55%以上に引き上げ。復興基金の3割以上を気候対策に
- EU:バッテリーへの数値基準等導入を提案。ライフサイクル全体が対象
- EU:横断エネルギー網や運輸部門の政策も強化
- 英国:2030年目標は90年比▲68%。 EUより厳しい水準
環境経営編
- CDP:CDP2020:世界全体でのA評価企業数が大幅増加
- その他:2050ネットゼロを促すイニシアチブ(最新動向)
- EU:有害物質の含有制限や再生材料の使用義務化等で持続可能な電池に
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 12月は2050年カーボンニュートラルに向けた日本の成長戦略がとりまとめられた。
- 経済産業省は12月25日に「2050年カーボンニュートラルに向けた成長戦略」を公表。成長が期待される14分野について目標や施策等を盛り込む実行計画を策定し、各分野における取組方針を整理した工程表を提示。2兆円の基金や脱炭素投資税制優遇などの施策を、脱炭素技術開発におけるビジネスチャンスと捉えるとよいだろう。
- 経済財政諮問会議の下部にある成長戦略会議は12月1日に中間とりまとめとしての実行計画を公表。本計画に「2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略」を盛り込む。カーボンニュートラルに向けた取組を、日本の経済戦略の中心である成長戦略の柱として位置づけた。
- 経済産業省は総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会を開催。2050年における各電源の位置づけを整理し、今後の議論を深めるための参考値として2050年の電源構成を提示。今後のシナリオ分析等により精緻化され、次期エネルギー基本計画(エネ基)における2030年断面での目標にも反映されると考えられる。
- 非効率石炭フェードアウトに向けた議論は12月においても進展を見せる。
- 経済産業省は、電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会を開催。容量市場について、フェードアウトに向けた誘導措置におけるインセンティブ設計を議論。安定供給と非効率石炭火力フェードアウトの両立を目指して、設備利用率が低い電源の容量市場収入の減額幅を縮小する案が提示。誘導措置の一つの形が見えた。
- 経済産業省の石炭火力検討WGでは、石炭火力フェードアウトに向けた規制・評価方法の議論が進展。発電効率の算出において、設備利用率の低下具合に応じた調整力補正を加算する補正措置について議論。上記のインセンティブと合わせ、調整力電源に対する一定の配慮と推察。
- 経済産業省は資源・燃料分科会を開催。資源・燃料政策においてもカーボンニュートラルに向けた検討を開始。資源・燃料サプライチェーンの低炭素化・脱炭素化に向け、短中期の天然ガス活用等、中長期の水素・燃料アンモニア活用等について検討。
- 経済産業省・国土交通省は洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会にて、洋上風力産業ビジョン(第1次)を提示。2040年4,500万kWという目標数値は、世界3位の市場規模。実現には次世代技術の開発や量産化が求められ、今後整理される技術開発ロードマップにも注目したい。
- トヨタ自動車や岩谷産業など、水素の需給双方の企業および金融機関の国内88社による「水素バリューチェーン推進協議会」が設立。早期の水素社会実現に向け、需給両面の課題解決に向けた議論を行う業界横断的な組織。産業界と金融界の協働の場であり、官民連携で水素導入を加速していく。
国際動向サマリー
- 12月は欧州委員会から、電池規則案が公表された。EU市場に参入する対象バッテリーにGHG数値基準や、リサイクル原料の含有量基準等の設定を行うもので、日本企業への影響も大きい。企業には原料調達や製造等におけるGHG排出量の把握と削減、リサイクル原料の使用、使用済み製品の回収等が求められることに。
- また、欧州委員会は、国境をまたぐエネルギーインフラ整備の支援対象から化石関連を除外し洋上風力等を強化する改正案や、ZEV導入目標やゼロ船舶やゼロ航空機の市場導入目標も公表。
- 欧州理事会が2030年GHG削減目標を「55%以上」に引き上げることに合意。新目標を国連に提出。
- 英国はEU離脱後も世界の気候変動取組を牽引すべく、EUより厳しい削減目標を公表。また1月開始のUK-ETSの削減目標値もEUより厳しくすると公表。
2021年 特別号
- 特別号
- 2020年米国大統領選と気候変動・環境政策 〜GPGによるワシントン発最新レポート〜
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GHGソリューションズではこれまで毎年、米国ワシントンDCの「グローバル・ポリシー・グループ(GPG)」を講師に招き、米国の政策動向に関する勉強会を年1回開催してきました。
2020年はコロナ禍により開催は見送りとしたものの、11月の大統領選挙結果とその影響について、現地の最新情報を特別レポートとしてお届けします。
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2020年 12月号(2020.11.1〜2020.11.30)
目次
国内動向
- 経済産業省等:2050年カーボンニュートラルを受け計画等の見直しを検討
- 経済産業省:2050年カーボンニュートラルへの道筋について議論開始
- 経済産業省:石炭火力フェードアウトに向けた規制・評価方法等を議論
- 経済産業省:非化石価値取引市場:需要家の視点取り入れへ
- 経済産業省・環境省:今後のプラ資源循環施策のあり方(案)を公表
- 環境省:バイオプラスチック導入ロードマップ(案)を提示
環境経営編
- 環境省:環境面のインパクト評価ガイドの骨子案を公表
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:「サステナブル事業」最終案公表。引き続き野心的水準
- EU:2050年までに洋上風力約25倍へ。コロナ復興基金の活用も視野
- IMO:既存船のCO2削減に向けた新規制承認。早ければ2023年から開始
- 中国:全国版ETSの制度詳細や対象者リストを公表。来年開始か
環境経営編
- その他:製品含有化学物質:伝達方式の産業部門間の調和実現に向けた取組
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 総理の所信表明演説を受け、11月は早速「2050年カーボンニュートラル」に関する検討が相次いだ。
- グリーンイノベーション戦略推進会議では、2050年カーボンニュートラルを受け計画等の見直しを検討。「ビヨンド・ゼロ技術」を2050年の「確立」から「社会実装」に目標を引上げ、重要分野の目標・制度設計を年末までに取りまとめる方針を表明。今後提示される、年限を明確化した野心的な目標や、規制改革・標準化等の制度など、企業の長期ビジョン設定、見直しの参考情報となろう。
- 経済産業省はエネルギー基本計画の見直しにあたり、2050年カーボンニュートラルへの道筋について議論開始。カーボンニュートラルへは電化促進や電源の脱炭素化が鍵との認識。また水素還元製鉄、炭素除去といった現行のエネ基では言及のない技術を新たに位置づけており、次期エネ基において、これらの技術にどのような重みづけがなされるのか注目される。
- 石炭火力フェードアウトに関して、経産省の石炭火力検討WGにおいて、石炭火力のみを対象とした指標のあり方、高効率化に向けた取組の評価方法、自家発自家消費の扱いを議論。水素やアンモニア混焼による発電効率向上は評価され、当面はカーボンフリーか否かは問わない方針。
- 制度検討作業部会では、非化石価値取引市場の現状と課題を整理。課題として需要家の視点が明記されたことは大きな進展であり、需要家として使い勝手の良い仕組みの登場が期待される。また、非FIT非化石証書を含む形では初めてのオークションが実施され、過去最大の約定量となった。約定価格は合理的な水準に落ち着いたといえ、当面は同じような価格水準が続くと見込まれる。
- 11月はプラスチックに関連して、 2つの政策の方向性が打ち出された。
- 経産省のプラスチック資源循環戦略WG、環境省のプラスチック資源循環小委員会による合同会議において、「今後のプラスチック資源循環政策のあり方について(案)」を公表。“ライフサイクル全体での最適化”を共通の考え方とし、多様な分別・回収ルートの整備等の方針を示す。
- 環境省は「バイオプラスチック導入ロードマップ(案)」を提示。2030年200万トン導入の目標に向けた、持続可能なバイオプラ導入の方針と施策等を整理。定量的な情報は明示されていないものの、製品領域と素材ごとの導入に適したバイオプラ類型の整理内容には着目したい。
- 環境省のポジティブインパクトファイナンスタスクフォースでは、「グリーンインパクト評価ガイド(仮称)」の骨子案および論点を提示。新たに、インパクト評価の指標・KPI、数値目標の方向性が示された。
国際動向サマリー
- 欧州委員会が、サステナブル金融における気候変動緩和・適応分野の基準(タクソノミー)最終案を公表。3月の専門家グループ(TEG)提言で示された厳しい基準が、最終案でも概ね採用された(つまり、CCS無しのガス火力は不適格、2026年以降は化石燃料を使う乗用車は不適格等)。
- 欧州委員会が、グリーンディールの一環として「再生可能洋上エネルギー戦略」を発表。洋上風力発電を現在の12GWから急増させ、2030年60GW、2050年300GWを目指す。復興基金も活用予定。日本における洋上風力発電の導入目標の議論に影響を与える可能性も。
- IMOは既存船のCO2削減に向けた新規制を承認。既存船への燃費性能規制(設計)や、燃費実績の格付け制度(運用)等。早ければ2023年から開始。
- 中国は、全国版ETSの制度詳細や、初めに規制対象となる電力部門の2019-20年の基準値と対象事業者リスト等を公表。2015年以降長く検討されてきた全国版ETSが、いよいよ来年開始との見方も。
2020年 11月号(2020.10.1〜2020.10.31)
- 国内
- 総理大臣:「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言
- 国際
- EU:化学物質政策の新長期ビジョン公表。毒性なき材料サイクルの実現に言及
- 速報
- 米国大統領選は民主党勝利の見通し。気候政策は180度転換へ
目次
国内動向
- 総理大臣:「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言
- 経済産業省:エネルギー基本計画見直しに向けた検討開始
- 経済産業省:石炭火力フェードアウト:発電効率の議論で進展
- 経済産業省:石炭火力フェードアウト:計画の作成対象を検討
- 経済産業省:FIP制度 参照価格の算定方法等 事務局案を提示
- 経済産業省:業種ごとの実態を踏まえたBM制度の見直しを検討
環境経営編
- GPIF:日本企業の企業価値、2℃シナリオ下で増大と分析
- 経済産業省:TCFDサミット2020 機会の開示・評価の重要性を強調
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:エネルギー・農業・廃棄物メタンの削減を支援。国際取組も促進
- EU:既存建築物の改修を推進する戦略を公表
- 【速報】米国大統領選は民主党が勝利の見通し。気候政策は180度転換へ
環境経営編
- SBTi:金融版SBTが誕生、投融資先の排出削減が焦点
- EU:化学物質政策の新長期ビジョンで、無害な材料サイクルの実現に言及
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 菅総理大臣は、10月26日に所信表明演説を実施。8つの領域の一つとして「グリーン社会の実現」を掲げ、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言した。国のトップが明確な目標を示したことで、今後、脱炭素社会を目指す動きが一気に加速することが予想される。企業においても、自社としての脱炭素化実現の道筋を立てることが急務となろう。
- 経済産業省は、エネルギー基本計画の見直しを開始。菅総理が所信表明演説の中で原子力政策の推進を表明したことを踏まえれば、原発再稼働問題に踏み込んだエネルギーミックスの詳細検討が行われる可能性も。2030年の電力排出係数の見通しが立つことになれば、電力を利用する企業側にも朗報。
- 10月は、石炭火力フェードアウトに関する検討で進展が見られた。石炭火力検討ワーキンググループでは、石炭火力のみをターゲットにした新たな指標を検討。バイオマス利用やコージェネによる熱利用を評価する方向性を示した。電力・ガス基本政策小委員会は、石炭火力フェードアウト計画の作成義務を、事実上大手電力に限定する考え方を示した。
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、自身のポートフォリオの気候変動リスクと機会を分析。2℃目標実現シナリオでは、日本企業の企業価値が増大するとの結果を公表した。政府が掲げる「環境と経済の好循環」と平仄の合う分析結果であり、今後の政策検討に影響を与える可能性も。
- 経済産業省は、10月9日にTCFDサミット2020を開催。「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」を踏まえ、トランジション・イノベーションを機会と捉える考え方や、TCFD開示を義務化せず企業の自主的開示を後押しする方針など、日本政府のスタンスが改めて表明された。
国際動向サマリー
- 10月は、欧州委員会が「欧州グリーンディール(GD)」の政策のうちメタン、建物改修、化学物質に関する戦略を公表。メタンについては、メタン排出の国際観測強化や、ガスインフラ、農業、廃棄物由来のメタン排出の削減促進等の施策を提示。建物改修については、今後10年で改修率を2倍にする事を目指し、エネルギー性能法規制の強化等を提示。
- また、化学物質戦略は、欧州GDが掲げる有害物質のない環境への第一歩。製品含有化学物質との関連では、毒性なき材料サイクルの実現を目指すとした。
- 11月の米国大統領選では民主党バイデン氏が勝利の見通し。気候政策を重要政策の一つに位置付けており、来年1月の就任直後から推進する見込み。
2020年 10月号(2020.9.1〜2020.9.30)
目次
国内動向
- 環境省・経済産業省:地球温暖化対策計画の見直しを開始
- 経済産業省:ガス事業の脱炭素化の検討始まる
- 経済産業省等:農林水産業/吸収源分野の動向整理が進展
- 経済産業省・国土交通省:「CASE」トレンドを踏まえた自動車政策の方向性を検討
- 経済産業省:石炭火力フェードアウト 誘導措置の検討を保留
- 経済産業省・国土交通省:「洋上風力ビジョン」のイメージを公開
環境経営編
- 経済産業省:気候ファイナンスに係る統合的戦略を整理
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:2030年目標を「少なくとも▲55%」で再提案。関連政策も強化へ
石炭大国ポーランドに脱炭素の動き - 中国:2030年前ピークアウト・2060年実質ゼロ排出を国連総会で表明
- 韓国:石炭火力を2034年に半減と表明。50年実質ゼロへの道筋も策定
環境経営編
- SBTi:SBTネットゼロ基準開発、本格始動
- EU:循環経済への移行に向け、ELV施策の課題が明らかに
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 経済産業省は、気候ファイナンスに係る統合的戦略を整理。COP26までの検討スケジュールも示された。トランジションファイナンス基本方針と業種別ロードマップは、「トランジション」に分類される企業取組を規定するものとして注目される。
- 経済産業省は、電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会を開催。非効率石炭火力のフェードアウトに向けた誘導措置の検討を、一旦保留とすることを発表。同措置のベースとなる容量市場において、約定価格が高額となったことを踏まえた判断。
- 環境省および経済産業省は、中央環境審議会と産業構造審議会の各々のWGの合同会合を開催。地球温暖化対策計画の見直しを開始した。焦点が当たるのは2050年に向けた長期の取組。欧州や中国の実質排出ゼロやカーボンニュートラルの宣言を受け、我が国としてどこまで踏み込んだ方針・取組が示されるか。
- 経済産業省・内閣府・文部科学省・農林水産省・環境省は、グリーンイノベーション戦略推進会議WGを開催。農林水産業における脱炭素化やバイオマスによるGHG吸収・固定技術の検討状況を整理した。他の脱炭素技術に比べ整理が遅れていた同分野であるが、ネットゼロの議論の活発化を受け、国際的にも関心が高まっていたところ。農産物を取り扱わない企業も、新たな削減施策の候補として注目したい。
- 経済産業省と国土交通省は、洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会作業部会を開催し、「洋上風力ビジョン」のイメージを公開。梶原大臣発言の「100万kW/年」は、正式な目標として打ち出されるか。
国際動向サマリー
- 欧州委は2030年GHG削減目標について、今年3月の提案(現行▲40% → ▲50〜▲55%)をさらに引き上げ、「少なくとも▲55%」を再提案。2021年6月までに、EU-ETSの対象部門追加や省エネ・再エネ規制の強化等を提案へ。併せて欧州委員会委員長は排出規制が不十分な国からの輸入品に課税する「炭素国境調整メカニズム」の導入にも引き続き言及。
- EU加盟国で脱炭素にもっとも消極的だったポーランドが態度を軟化。9月には国内全炭鉱の2049年閉鎖で政府と労組が合意するなどの発表が相次いだ。背景には、EUが「公正な移行基金」を通じて、脱炭素の影響の大きい加盟国に補償や産業変革支援を提供する政策が功を奏した模様。
- 中国が2060年カーボンニュートラルを目指すと表明。EUや米国との関係回復が狙いと思われるが、気候変動交渉上の意義は大きい。これで11月の米国大統領選挙でバイデン氏が勝てば、主要排出国である米国、中国、欧州が2050年頃の実質ゼロ排出目標を掲げることに。
- 韓国の文大統領も、石炭火力廃止の強化や再エネ拡大計画等の公表と合わせて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた工程表を年内に公表すると表明。
- SBTイニシアチブは、SBTとしての「ネットゼロ」の目標基準の検討を開始。今般、基本的な考え方に関するレポートを公表し、ネットゼロ目標が満たすべき基本要件を示した。多くの企業がネットゼロ目標を発表する中、現状ではその定義は各社各様。ネットゼロの考え方が一つに定まれば、目標見直しを迫られる企業も出てくるだろう。
- EUでは、使用済み自動車(ELV)指令の見直しに向け、欧州委が同指令の評価結果を公表。自動車の電子化やEV・HVの販売拡大が進む中、プラ材料や電気・電子部品の使用も拡大しており、関連規制間での対象範囲や基準の不一致などが、今後のELV処理を阻害しうる課題として明らかに。同指令改正が、自動車分野における製品含有化学物質管理と情報伝達の抜本的見直しをもたらす可能性も。
2020年 9月号(2020.8.1〜2020.8.31)
目次
国内動向
- 経済産業省:FIP制度 詳細制度設計について議論開始
- 経済産業省:石炭火力フェードアウト:「非効率」の定義を議論
- 経済産業省:エネルギー需要構造の転換に向けた今後の方向性を整理
- 経済産業省等:水素/モビリティ分野の技術動向を整理
- 環境省:CO2分離回収・輸送・貯留技術の現状の到達点を確認
- 経済産業省・環境省:循環経済の「ガバナンス」「戦略」「指標と目標」を議論
環境経営編
- 環境省:環境リスク管理へのデュー・ディリジェンス活用手引き公表
- 経済産業省:企業と投資家の「実質的な対話」の在り方を提示
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:EUA価格がコロナ前の水準に回復。7〜8月は過去最高の€30水準
環境経営編
- TNFD:自然資本に関するリスク・機会の情報開示を求める動き
- NZ:電気電子製品やタイヤのライフサイクル管理を優先実施
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 前月に引き続き、8月は再エネの主力電力化や非効率石炭火力の休廃止に関する作業部会等の開催が相次いだ。
- 再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会と再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会の合同会合は、FIP制度の詳細設計の議論をスタート。同制度に関する11の議論を提示した。
- 電力・ガス基本政策小委員会・石炭火力検討WGは、休廃止の対象となる「非効率」石炭火力の定義や、規制的措置の在り方が議論した。「非効率」の定義は、石炭火力を保有する事業者の休廃止判断を左右する。今後の検討に注視が必要。
- 脱炭素化社会を見据えた制度および技術に関する検討会も次々開催された。
- 省エネルギー小委員会は、産業・業務・民生・運輸の各種省エネ政策の進捗報告と同時に、新たな議題として、脱炭素化社会に向けたエネルギー構造転換や行動化を進めていくための方向性を提示した。再エネ由来の電力や水素の扱いが大きな課題に。
- グリーンイノベーション戦略推進会議WGは、水素及びそのモビリティ技術の社会実装に向けたポイントを整理。需要家に水素活用拡大を促す方向性を追加。
- CCUSの早期社会実装会議は、CO2の分離回収・輸送・貯留技術に関して、環境省実証事業の現状の到達点と今後の課題を確認した。
- 資源循環に関しては、サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会において、投資家と企業の対話のためのガイダンスに盛り込むべきポイント案が示された。
- 環境経営に係る動向としては、環境省と経済産業省から新たなガイド文書が公表された。
- 環境省は、環境リスク管理にデュー・デリジェンスを活用するための手引きとして、「バリューチェーンにおける環境デュー・デリジェンス入門」を公表。ESGに関する負の影響を予防する手段としてデュー・デリジェンスを活用する欧米の考え方を日本に展開する内容。
- 経済産業省は、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話実質化検討会」中間取りまとめを公表。新たな概念として「サステナビリティ・トランスフォーメーション」を提唱。企業と投資家に、中期経営計画を越えた「長期」の時間軸共有を促し、企業と社会の二つのサステナビリティを両立させる経営・対話を求める。
国際動向サマリー
- 8月は例年同様、休暇シーズンということもあり国際的な動きは少なかった。
- EU-ETSの排出権(EUA)の取引価格について、新型コロナウィルス感染拡大の影響で大幅に下落したことは本誌5月号にて掲載したが、その後上昇に転じ、7〜8月には過去最高となる€30水準に到達した。その背景にはグリーンリカバリー推進が続くとの見通しがあるとみられる。そこで本号では、EUA価格の過去15年間の推移を改めて整理し、2008年リーマンショック時の価格下落と、今回の価格下落および回復状況を比較した。また「欧州グリーンディール」の今後の予定についても整理した。
- この他、7月に発足した「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」について、現在までに明らかになった概要を整理した。TNFDは、TCFDのようにG20主導ではなく、国連やNGO主導の取組だが、ビジネスリスク評価に有用となれば、企業・金融に活用されることになろう。
2020年 8月号(2020.7.1〜2020.7.31)
- 国内
- 経済産業省:「再エネ型経済社会」の創造に向けて、論点整理
- 国際
- EU:エネルギーシステム統合戦略、水素戦略を公表
- 速報
- 再エネ・省エネJークレの結果に明暗
目次
国内動向
- 経済産業省:非効率石炭火力フェードアウトの論点整理
- 経済産業省:非効率石炭火力フェードアウトに向けて個別の議論開始
- 経済産業省:「再エネ型経済社会」の創造に向けて、論点整理
- 経済産業省・国土交通省:洋上風力発電の本格導入に向けた検討を開始
- 経済産業省、等:脱炭素技術の将来動向の整理を開始
- 【速報】第9回J−クレジット入札販売。再エネ発電クレジットと省エネクレジットの結果に明暗
- 経済産業省・環境省:プラ戦略の施策方向性案を公表
- 経済産業省・環境省:資源循環における価値観、リスク・機会について議論
- 環境省:廃プラ輸出に係る規制対象の判断基準(案)を公表
環境経営編
- 環境省:我が国としてのインパクトファイナンスの考え方を整理
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:“循環型”エネルギー利用、再エネ電力、再エネ水素を促進へ
- EU:2030年再エネ水素1,000万t製造へ。当面はCCS付き化石水素も支援
- 米国:2兆ドルの政策構想。2050年GHG実質ゼロ、発電は2035年にゼロ
環境経営編
- CDP:企業のCO2削減目標を「気温」に変換・評価するツールが登場
- IMO:船舶の製品含有化学物質の国際的な管理が始動間近
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 7月は、非効率石炭火力のフェードアウトや再エネの主力電力化に関する小委員会・作業部会が相次いで開催された。
- 経済産業省は電力・ガス基本政策小委員会を開催し、非効率石炭火力のフェードアウトや再エネの主力電力化に向け、論点整理を行うと共に担当する小委員会や作業部会を決定。
- 再エネ主力電源化については、再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会と再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会の合同会合で検討がスタート。「再エネ型経済社会」という理念が掲げられ、再エネ産業の競争力強化、ネットワーク等の社会インフラ整備、再エネと共生する地域社会の構築に関する論点が提示された。
- また、経済産業省と国土交通省は洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会を設立。非効率石炭火力のフェードアウトについては、制度検討作業部会にて検討が開始。石炭火力の供給力を代替するための容量メカニズムの活用等が検討の俎上に上がった。
- また同月には、資源循環やプラスチックに関する検討会も多く開催。
- 産業構造審議会のプラスチック資源循環戦略WGと中央環境審議会のプラスチック資源循環小委員会は合同会議を開催し、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性(案)」を公表。
- 経済産業省と環境省が合同開催するサーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会では、価値共創の考え方とTCFDが重視するリスク・機会の観点を取り込んだ情報開示のあるべき姿が示された。
- 廃プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定のための検討会では、規制対象外となるための条件について、新たにベールを追加する案が提示された。
- 環境省は「インパクトファイナンスの基本的考え方」を公表。金融の力でSDGsやパリ協定の達成を後押しする動きが国際的に拡大する中、我が国としてのインパクトファイナンスの考え方を整理。
- 第9回J−クレジット入札販売結果が公表。再エネ発電由来J−クレの需要増が継続する一方、省エネJ−クレは、入札開始以来初めて1トンも落札されない結果。クレジット市場の変化が露わに。
国際動向サマリー
- EUでは、欧州委員会が「エネルギーシステム統合戦略」を公表。2050年GHG実質排出ゼロに向け、国・部門・エネルギー種類を跨いだエネルギーシステムの統合を目指す。① 地域エネルギー利用、② 再エネ電力、③ 再エネ水素等を促進する38の行動を策定。
- 欧州委員会は、エネルギーシステム統合戦略の③ に関連し、「水素戦略」もあわせて公表。電力への切替が困難な部門の脱炭素に向け、2030年再エネ水素1,000万トン製造を目指す。短期的には化石燃料+CCS由来の水素も支援対象に。但し、支援対象選定にはEUタクソノミーも参照されることに。
- 米国ではバイデン候補が2兆ドルのインフラ及びエネルギー分野の政策構想を発表。インフラ更新やクリーン技術革新、再エネ電力の拡大等を進めることで雇用拡大などを目指すもの。また、排出削減目標として、米国全体では2050年GHG実質ゼロを掲げ、発電部門では2035年のゼロ達成を目指すとした。
2020年 7月号(2020.6.1〜2020.6.30)
- 国内
- 経産省・環境省:循環経済・プラ循環の情報開示ガイダンス検討開始
- 国際
- ICAO:2020年排出量をCORSIAの目標設定に使わないことで合意
- 速報
- 経産省、非効率石炭火力のフェーズアウト検討へ
目次
国内動向
- 経済産業省・環境省:循環経済・プラ循環の情報開示ガイダンス検討開始
- 環境省:廃プラ輸出に係る規制対象の判断基準について検討開始
- 産業技術総合研究所:脱炭素に向け産官学の連携開始
- 環境省・経済産業省:最新版白書にみる環境・エネルギー政策の方向性
- 【速報】経産省、非効率石炭火力のフェーズアウト検討へ
環境経営編
- 国土交通省:不動産のTCFD情報開示を検討
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- 英国:EUより厳しいETSを2021年から実施。対象は産業、発電、航空
- ICAO:CORSIA 2020年排出量を目標設定に使わないことで合意
環境経営編
- EU:国際条約に適合する基準で、PFOAを再規制
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 経済産業省と環境省は、2回目となるサーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会を開催。ESG投融資において企業の資源循環の取組が適正に評価されるための情報開示ガイダンスの策定を目指し、検討方針・構成案を提示。
- 環境省は廃プラスチック輸出に係るバーゼル法該非判断基準策定のための検討会を開催。規制対象外となる廃プラスチックの事例が示された。
- なお本号では、7月初旬にマスコミ各社が「旧式石炭火力100基を2030年度までに休廃止と決定」と報じた後の経済産業省の動きを、速報で紹介する。梶原大臣が報道側を牽制する一幕もあったが、その後同省は非効率石炭火力のフェーズアウトの検討を開始。2030年に向け非効率石炭火力による発電を限りなくゼロに近づける考えを示した。(詳細は次号にて掲載予定)
国際動向サマリー
- 英国は、EU離脱後の国内排出権取引制度(UK-ETS)の制度案を公表。規制対象は、エネルギー 集約型産業、発電、航空(国内/EU域内便)。フェーズ1は2021〜2030年。EU-ETSよりも厳しい排出上限を設定。炭素税も検討中。
- 2021年開始予定の、国際航空部門におけるカーボンオフセット及び排出削減制度(CORSIA)では、2019年から2020年のGHG排出量を基準に目標値を設定する予定だったが、コロナ禍で排出量の減っている2020年値を目標設定に使わないことを決定。
2020年 6月号(2020.5.1〜2020.5.31)
目次
国内動向
- 環境省・経済産業省:石炭火力輸出に関する取りまとめ相次ぐ
- 経済産業省:21年ぶりの循環経済ビジョン発表。循環経済への転換目指す
- 経済産業省・環境省:プラ戦略を踏まえた具体的施策の検討開始
- 環境省:バイオマスプラスチック200万トン導入に向けた検討開始
環境経営編
- 経済産業省・環境省:資源循環分野におけるESG投融資の在り方検討開始
- 環境省:ポジティブインパクトファイナンス、考え方の骨子案が公表
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:EU復興基金提案。グリーンディールが復興戦略の根幹に
- EU:欧州グリーンディール政策の検討:今後の予定
環境経営編
- オランダ:循環経済実現の鍵は製品含有化学物質の情報共有と報告
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 5月は、石炭火力輸出に関する取りまとめが相次いだ。環境省が設置した「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」は、ファクト集および分析レポートを公表。経済産業省が設置したインフラ海外展開懇談会も、石炭火力輸出を重要テーマの一つとして中間取りまとめを公表した。議論は、内閣官房による次期インフラシステム輸出戦略骨子の検討に引き継がれる。
- また同月は資源循環やプラ戦略に関する動きも多数見られた。21年ぶりに循環経済ビジョンが策定、循環経済への移行が宣言された。昨年策定の「プラスチック資源循環戦略」の具体施策を検討する産構審・中環審合同会議は早くも2回開催。“バイオプラスチック”導入に関するロードマップの検討会も始動。資源循環分野におけるESG投融資の在り方の検討も開始。昨年度は概念的な検討が展開された資源循環とプラ問題であるが、今年度は政策の具体化と投融資側の動きが進むことになりそうだ。
国際動向サマリー
- 欧州では、グリーンリカバリー施策の一環として7,500億ユーロの復興基金を提案。復興戦略の根幹としてグリーンディールが位置付けられ、建物改修やサーキュラエコノミー推進等が掲げられた。また基金の予算配分においてEUタクソノミ―基準を活用することも示唆された。
- また欧州委は新型コロナへの対応を踏まえたグリーンディール政策の検討スケジュールを公表。一部検討は実施時期を3〜6ヵ月程度遅らせるものの、全体として大きな変更なく、グリーンディール政策を推進していく姿勢。今年後半には、持続可能な金融戦略の改定や2030年GHG目標強化等を予定。
2020年 5月号(2020.4.1〜2020.4.30)
目次
国内動向
- 環境省:石炭火力輸出、条件見直しのためファクト収集
- 経済産業省:省エネ、燃費改善が着実に進展
- 環境省:GHG排出量確報、総量は減少継続もHFCsは増加
環境経営編
- 環境省:インパクトファイナンスのあり方検討始まる
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:コロナによる経済停滞後の復興策として環境政策を推進する動き
環境経営編
- SBTi:SBT認定基準の改定版が公開。目標水準は以前と変わらず
- 中国:中国RoHS 規制対応は「管理」が基本。海外企業も対象に
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 環境省は、石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会を開催。公的支援を認める際の「4要件」見直しに向け、踏まえるべきファクトを広く集める。全会合に小泉環境相が出席しており、力の入れ具合は明らか。
- 2018年度のエネルギー需給実績およびGHG排出量の確報値が発表された。経済成長の鈍化や人口減少の影響以上にエネルギー需要が減少。エネルギー源の非化石シフトも進み、GHG排出量の減少も着実に進展。
- 環境省は、社会・環境にポジティブな変化をもたらす投融資である「ポジティブインパクトファイナンス」について、その概念整理と実施のためのガイド作成を行うタスクフォースを設置。類似の考え方は過去も存在したが、パリ協定やSDGsの達成という大義を後ろ盾とする点が新味。拡大を見せる可能性もあり、注視を要する。
国際動向サマリー
- 欧州では、新型コロナ感染拡大で政策検討に遅れは出ているものの、欧州委員会は引き続き、環境政策を強化する予定。またコロナによる経済停滞後の経済復興策はグリーンなものであるべきと主張する「グリーンリカバリー連合」が設立され、EUの議員、企業、NGO等が署名。日本国内の議論に影響する可能性も。
- EU-ETSの排出権(EUA)価格は欧州での新型コロナ対策による経済活動の収縮を受けて価格が下落。ただし、リーマンショック時に比べれば下落幅は今のところ小さい。2050年EU脱炭素の長期シグナルや、グリーンリカバリーの検討等が大幅な下落を食い止めているのかもしれない。
- SBTイニシアチブは、SBT認定基準の改訂版を公開。推奨事項として、土地利用変化による直接排出を算定することや、バイオエネルギー利用に際して木材・作物等の利用と再生のタイムラグを考慮すること等が追加された。いずれもネガティブエミッションの手法として注目されるアプローチであり、SBTとしてこれらを認める方針がより明確に示された形。
2020年 4月号(2020.3.1〜2020.3.31)
目次
国内動向
- 政府:日本のNDC決定。2030年度目標は変化なし
- 経済産業省:国際イニシアティブ向け再エネ熱の調達・報告方法を整理
- 環境省:グリーンボンド、グリーンローン等の指針策定
- 国土交通省:船舶ゼロエミッションに向けた2種の代替燃料シナリオ公表
環境経営編
- 経済産業省:国際的発信に向けトランジション・ファイナンスの考え方整理
- 金融庁:スチュワードシップ・コード再改訂、ESGの考慮を明記
- ESGヘッドライン【国内】
主な審議会等の開催状況
国際動向
- Carbon Policy Update
- EU:新たな「循環経済行動計画」を採択。製品の設計・生産に焦点
- EU:2050年実質ゼロ排出目標を法制化、2030年目標と対策強化へ
- UN:ICAOが国際航空部門で使用可能なクレジットプログラム6種を選定
環境経営編
- EU:製品含有化学物質が環境配慮設計の配慮要素に
- ESGヘッドライン【国際】
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国内動向サマリー
- 環境省は、グリーンボンド、グリーンローン等の指針を策定・改訂。エクイティファイナンスを中心に興隆してきたESG金融であるが、今回の指針策定でボンドに加えてローンにおいても「グリーン」の考え方・手続きが整理された。
- 国土交通省は、船舶ゼロエミッションに向けた代替燃料シナリオを公表。示されたのはLNGからカーボンリサイクルメタンへの移行シナリオと、水素・アンモニア燃料拡大シナリオの2シナリオ。いずれが主流になるかは、海運以外の業種の代替燃料移行にも影響を与えるだろう。
- 経済産業省は、「クライメート・トランジション・ファイナンスの考え方」を公表。国際的に発信することを前提とした整理であり、EUタクソノミーのグローバルスタンダード化を牽制する意味合いも読み取れる。
- 金融庁は《日本版スチュワードシップ・コード》を再改訂。ESGの考慮が明記された。
国際動向サマリー
- 欧州委員会は「新循環経済行動計画」を発表。資源を可能な限りEU経済内に留保することを目標とし、製品の設計・生産段階で長期使用・再利用・修理・リサイクル容易性を考慮する事を求める規制等が、今後順次策定されていくことに。EUに拠点を置く日本企業や日本国内で再利用可能資源を扱う商社・リサイクル業者にとっても機会・リスクの両面で大きな影響を及ぼしうる動向である。
- 欧州委員会は「欧州気候法」を提案。2050年実質ゼロ目標に法的拘束力を持たせるとともに2030年目標と対策の強化を行う。2021年6月までにEU-ETSや省エネ・再エネ指令等も見直し予定となっており企業にも大きな影響を与えうる。
- ICAOは国際航空部門の目標達成に使用可能なオフセットクレジット・プログラム6種を選定。同部門はオフセットクレジットの最大の需要家と見込まれており今後、企業がオフセットクレジット創出を検討する際にはこれらのプログラムの活用が有望な選択肢となる。